余白が狭すぎる

ミックスジュース系オタクの独言

84年の異端児、吉川晃司

敬称略してます

 

80年代前半、たのきんトリオや少年隊という華々しい活躍を見せたソロアイドル、少人数アイドルグループを数々誕生させたジャニーズ事務所は87年、大人数アイドルグループ光GENJIを世に送り込んだ。それからゆっくりと時代はソロアイドル氷河期へと向かっていくのであった…。

 

と、目まぐるしい変遷を遂げた80年代アイドル界の狭間、1984年に吉川晃司は鮮烈的なデビューを遂げた。鮮烈的とは当時13歳であった母の言葉をそのまま借りたものです。当時既に、目がくっきりしたかっこよさの中に可愛さをスパイスとして備えたようなジャニーズの正統派の系譜は存在していて、そんな中で彼の全てが母の目を引いたんでしょうね。

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母「眉毛しっかりしてるなぁ。カクってした下顎のラインが良い」

一重のすっきりした目元にしっかりした鼻筋、骨ばった四角めの輪郭。180超の身長、に映えるスーツ、逆三角形と表された圧倒的なフィジカル、肩幅、肩幅…ありえないくらい長い脚でのありえないくらい高い蹴り、マイクを持ったまま片手でバク転、リズムを取るような独特な足の動き。当時アイドルソングの主流であった歌謡曲、ポップスを歌うのであればあまりにも似合わないパフォーマンス。

そう、彼の歌うのはロックでした。メロディアスとは一風違う、ビート感を重視したサウンドアイドルソングの大御所とも言える作曲陣ではなく、矢沢永吉のバックを務めたNOBODYが作曲した曲をひっさげて彼はデビューしたのです(それがモニカなんですが、この曲歌詞のリズムののせ方が独特で面白いと私的には思いますし、これを無難に歌えた吉川晃司はリズム感に天性のものがあるんでしょうね)。水球で鍛えた体から出る低めの伸びやかでハリのある声も手伝って、彼のデビューシングルは人気を博しました。他のアイドルにはない数多くの武器を手にした彼のサクセスストーリーはこうして始まるわけです。

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母「この顔だよ〜すごいかっこいい!」私「可愛いね」

「モニカ」を主題歌とした映画、「すかんぴんウォーク」も見たのですがあれは不思議でしたね。サクセスストーリーと銘打っているものの言うほど成功しているようにも見えませんし、こう芸能界の理不尽やらなんやらをぶち込んだような映画を期待の新人のデビュー作品にしてしまうのか。ラストシーンはすごく好きですが。それにお色気(とまでは行かないけど)シーンも散見され、まぁ今では新人アイドルにやらせるというのは考えられませんね。しかし当時は男性アイドルと女性アイドルが一緒にCMに出演しただけで双方のファンから…というのもよくあった話(母談)らしいのでデビュー映画で逆によかった説も。ある意味面白かったです。冒頭主人公の裕司が泳いで東京に上陸してくるシーンは印象的でした。主人公を本人と少しリンクさせるというのはアイドル映画らしい。映画の中でもちょくちょく吉川のパフォーマンスシーンが出てくるのですが、歌い方も身のこなしも新人にしてはだいぶこなれてますね。新人にしてはの前置きは付けますが。バンド経験があったみたいで、そのバンドでもかなりの人気を誇ってたとか。必死のナベプロが金庫に残った3億円をつぎ込んで売り出したのが彼だった理由のひとつかも知れませんね。

彼の面白いところはデビュー当時、最初の最初からスタイルがぶれないところ。あの長い手足を使った独特の動きも、一瞬英語に聴こえるような発音も、彼のデビュー曲から見受けられるものということを知り驚きました(まあ年代によって多少の変化はありますけどね)。母に吉川晃司の曲を聴かされていたおさない私は、「く」を「きゅ」と発音する歌唱法を真似たりもしていました。余談。

いつも吉川晃司のパフォーマンスを見てまず思うこととしては「すげぇカッコつけてんなぁ」。母も笑いながら「すげぇカッコつけてんね」と言います。「でも、それがいい」とも。デビューにまつわる話を読む限り、彼はとても自分に自信があるように見えます。実際はどうだったのか、それは本人しか知りえませんが、学生時代はコンプレックスの塊だったと話す母にとって自分に自信がある、それだけで大きな魅力のひとつだったのでしょう。それに、カッコいい人がスカしまくる、カッコつけまくるのはある意味清々しいし私は好きです。

母が語る吉川晃司の魅力といえば「顔がいい」「声がいい」「体格」「運動神経」などがほとんどなのですが、「地方の坊ちゃん感が抜けてない感じ」というのが印象的です。私にとったら言われてみれば…分かるような分からないような?、という感じなのですがリアルタイムで熱狂的なファンをやっていた母だからこそですね。母が初期の吉川晃司が一番好きと話すのもこれが理由。多分。

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地方のぼっちゃん感は未だによく分からずですが、こんな感じなのかな(?)

 

アイドルは本人の魅力も勿論ですが、歌う楽曲の魅力も不可欠ということで、吉川晃司はかなり楽曲に恵まれていると私は思います。というか、楽曲について語りたい。語らせてください。

1作目2作目はNOBODY作曲ですね。ロックを聴き慣れない女の子達もハマるキャッチーな感じです。と同時に、やはりアイドル音楽へのロックの持ち込みというのは当時学生位の女の子達の世界だった男性アイドルというジャンルに同年代の男の子達を一定数引き込むことに一役かっていると思います。吉川晃司だけでなくアイドル的人気をほこったチェッカーズも同じことが言えそうです。

モニカは夏、恋の終わりを歌っています。このモニカというのは人名なのか地名(サンタモニカ)なのか…Thanks.モニカというのは夏の思い出をくれた君にありがとうなのか、街にありがとうなのか…Thanks.という感謝の言葉はキレながらの言葉なのか、ひとつの思い出として消化しての言葉なのか…(これは相手に浮気されたのかはたまた片恋で失恋しただけなのかによっても変わってくるかも)。いろんな読み方ができる曲です。悲しいとか寂しいとかのちょくせつ的な感情表現がなく、情景が端正に表現されてます!カタカナを英語に変換したりしなかったりの歌詞なのは吉川のあの歌唱法を意識してのことなんですかね?

サヨナラは八月のララバイは幼い頃から印象的な曲でした。〜するほど〜じゃない、〜するほど〜でもない、的な構文が、深いなぁと思いながら聴いてましたね。思い出を美しいままにしておきたいという曲なのかな。悲しいけれど夏のまま、美しいまま生きてはいけないから、2人過ごした季節をいつまでも夏のままに、美しいままにしよう、恋を終わらせてしまおうみたいな感じですかね。

二曲とも夏の別れを歌ったたものですが、他に夏の別れの曲といえばパラシュートが落ちた夏かな。パラシュートが〜今年の夏はおしまいさの所で急にノスタルジックなメロディーになって緩急がすごい曲。嫌いになった訳では無いけど、価値観の違いやらで別れるふたりの歌ですね。そういう理由で別れるのってなかなか辛そうですけど割と前向きな歌です。さすが未来に飛びたい男。

てな感じで、吉川晃司名曲揃いです。モニカしか知らんわ!って人は是非聴いてみてください。テクノ混じりのロックも勿論ですが、バラードもなかなかいいです。a day good night とか。she's gone とか。バラードじゃなくてもフライデーナイトレビューとかハートショットとかプリティ・デイトとかとか。プリティ・デイトとかすごい可愛い歌詞なんですよ。吉川晃司が書いた歌詞なんですよ。他に吉川が書いた歌詞で可愛いのといえば、これはCOMPLEXの曲になるけどやっぱり恋をとめないで。連れ出してあげる、とか守ってあげるとか、少女漫画みたいで。あまり丁寧じゃない口調そうな人が〜してあげるとかいうの割と好き。

てなわけで、今は下町ロケットなどでイケオジになった吉川晃司さんが人気だけど、若い頃の彼もすごくイイので色々聴いたりして下さると母も喜ぶと思います。母は今の吉川さんの熱狂的なファンではないですが、いまの姿をテレビ等で見て「私には先見の明がある」と嬉しそうにしてます。

オワリ。