余白が狭すぎる

ミックスジュース系オタクの独言

原作未読者が映画「帝都物語」を見たネタバレ感想

はい。もうタイトルに全てが詰まってるんですが、原作未読者が映画「帝都物語」を見た話です。ちなみに、平成最後の日に見て令和最初の日に書いてます。ヤバ人(やばびと)みたいで怖いな。

5月4日までGyaOで無料配信してます!たしか帝都大戦もしてた。見たい方はお急ぎを!

 

褒めたい所も突っ込みたい所も沢山あるので箇条書きにして行きたいと思います。文章まとめるのド下手人間なので許して。

 

・明治〜昭和初期という時代がとにかく好き!って人にはオススメ。

原作は明治からの100年を描いた物語(調べました)であり、その中の明治〜昭和初期を切り取って映像化したのが当映画です。制作費は10億円とされており、とにかくとにかくセットが素晴らしい。レトロ、とかモダンとかの言葉に惹かれる人は視覚的な楽しみとしてだけでも見る価値はあると思います。一つ一つのカットがやはり芸術性というか、今で言ったら映え(?)を意識しているようにすら感じます。

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天皇崩御後、国中が喪にふくすシーンも

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物語の中心になるのは辰宮一族、そしてそれに相対する魔人加藤ですが、辰宮家と共に加藤から帝都を守るために働く役割として、実在する偉人が登場します(もちろんフィクション、荒俣史観でキャラ付けがなされている)。例えば、実業家としての財力等々の影響力を行使し、帝都を軍事的呪術的に強固なものにしようと計画する渋沢栄一(演じるのは勝新こと勝新太郎)、膨大な呪術の知識で辰宮家をサポートしつつ加藤を追い詰める幸田露伴(高橋幸治)、物理学で加藤に立ち向かう(間接的なところはある)寺田寅彦(寺泉憲)、人間型ロボット「学天則」で協力する西村真琴(えんじるのはなんと本人の次男である西村晃という胸アツ。)、エトセトラエトセトラ。

こういった歴史上の偉人がフィクションとして描かれる物語といえば、ジュブナイル好きとしては楠木誠一郎センセイが思い出されます。「タイムスリップ探偵団」シリーズで有名な方ですが、当作と雰囲気が近いのは「帝都〈少年少女〉探偵団ノート」シリーズかなぁ。黒岩涙香などが登場します。なかなか渋い人選。こちらも気になった方はぜひ御一読下さい(帝都〜の方は入手が難しいかも…)。

 

・とにかく〝豪華〟な映画が見たい!って人にもオススメ。

先程書いた通り制作費は10億。セットもかなーり豪華で、何をするにも惜しまずやりました!みたいな、いい意味でのバブル感(しかし将門の首塚はハリボテ感否めず)。正月映画の趣があります。しかーし豪華なのはセットだけじゃない!もちろんキャストもものすごい豪華なんですよ。前述の勝新らに限らず、土御門家の陰陽師として活躍する平井保昌役に平幹二朗。友情出演する坂東玉三郎が演じるのは泉鏡花。若手からは石田純一佐野史郎。当時日本演劇界を代表していたと言っても過言ではないレベルの俳優さん達がそろい踏み(しかしその印象を塗りつぶすレベルで凄かったのがデビュー作だった嶋田久作…)。女優陣の中では巫女・恵子を演じる原田美枝子の美しさが光ります。白い肌に上品で凛とした顔立ち。他の女優さんたちはあまり上手く撮ってもらえてないなって感じるんですが…。それにしても美しい。f:id:maruisan:20190501220644j:image

私のイチオシは坂東玉三郎演じる泉鏡花ですかね。華美な雰囲気では無いものの、雅さが滲み出てる。辻占いって役割もいいし、なんだかんだで印象的なシーンをかっさらってる印象。

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冒頭の浴衣姿の石田純一とモダンなスーツ姿の佐野史郎も推したいところ。作中では…ですが…。

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・陰陽術的なカッコイイやつ、またはオカルトVS科学が好きな人にもオススメ。

陰陽術とかようわからん妖術みたいなカコイイ・おどろおどろなやつが好きな人、もちろんオススメ。平安に栄えたどちらかというと前時代のものであるという印象が強い陰陽術と、明治から昭和にかけてのハイカラな雰囲気の組み合わせがほんとに萌え!まず魔人加藤が軍服着てるっていうのがビジュアル的勝利だと思います。しかし、嶋田久作はほんとハマり役だし、こんなハマり役を世に送り出したという点だけでこの映画の功績について語れそう。

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冒頭の「加藤が来るぞ!」も加藤ってなんなのかよく説明されてないのに、装束をまとったもの達が大慌てしてるシーンでワクドキ。全編を通して加藤が「来る」時のこの切迫した感じが、ほんとに緊張を煽るというか。当時の子供らは本気で加藤に怯えただろうな。

印を結んで何語ともつかない呪言を唱える、これみんな好きなやつや。妖界ナビ・ルナを読んで必死に九字を切っていたあの頃が蘇ります。みんなこういう時期あったよね。信じてる。

後半は、オカルトVS科学の話なのかなとは思う。結局加藤にとどめを刺した(倒したとは言ってない)のは「学天則」、もといそれを作り出し、利用しようと考えた人間達。そもそも寺田寅彦はあのちみい鬼たちを集団幻覚と仮説してますし、加藤を認識してないのでは?そんな人間が加藤に1番ダメージ与えちゃうんだ!みたいな面白さもある。自爆装置を起動しようとして鬼に邪魔される西村博士と娘さんを守る学天則、自爆後学天則の頭部を抱き上げていたわる博士とか、我々:「学天則…!(ウルッ!)」のシーンですが、あれは諸刃の剣である科学技術と人間との理想的な姿を示しているのではないでしょうか。このシーンマジで映画内で1番気に入ってるかもしれないです。

そして、「シン・ゴジラ」でゴジラが311のメタファーではないのかと言われていたのと同様に、加藤も東京を襲う災害や戦争を表したものなのではないかと。そんな厄災に傷ついても何度も立ち上がる人間を賛美すると共に、破壊と成長が切って離せない、人間の生き血を啜って成長する都のあり方を皮肉るものでもあるのではないでしょうか。この物語の主人公は「東京」なのか。考えすぎですかね。結局当作を一言で表すと「世紀のおもちゃ箱」ですし。

 

・なんだかんだでツッコミどころはある。

これ、多分原作未読だからでしょうけど、説明不足感。というか、自己補填能力が問われる感じ。

まず加藤はなぜそんなに東京を滅ぼしたいのか。なぜ将門にこだわるのか。将門がめちゃ東京を壊したがってて利用できるからかと思いきや、将門「我を起こすな」ですし。そもそも加藤って陸軍に所属してるの?とかとか。加藤、辰宮妹を孕ませたり執拗に恵子に求愛したりなかなかキモいし。

あと将門を鎮めるために身を捧げた辰宮兄妹なんで生きてる?とか。幸田先生やお医者さんはあの子の父親が辰宮兄と知らなかったのか、なんでバレなかったのか?バレてたとしたら、幸田先生はなんで鳴滝に加藤と辰宮妹の子だって言ったのか。まあ辰宮兄とは言えないでしょうが、どこのものか分からないでもいいんじゃない?加藤の子にしたら余計拗れるし…。とか。

ここら辺の疑問を解決する為にも、あと恵子や黒田やいとうせいこう(役名忘れ)はこの後登場するのか、などを確かめるために早く原作を読みたい。なかなか新品では見つからないし、古本でも揃ってるのは見ないので地道に集めていこうと思います。てか多分ネット通販の力に頼る。

 

見終わったら「帝都物語」脳になってしまうので注意してください。

オワリ。